土俵際のくちづけーおかみさんの恋わずらい

愛斗は帰り道、アクセサリーショップへ立ち寄った。
店で指輪を選び、購入するとカバンの中に大切にしまい、そのまま相撲部屋へと向かった。
部屋に着くと、弥生をはじめ力士たちが集まっていた。みなから会長就任を祝ってもらい、愛斗は笑顔で応えた。
「ありがとう」
そして弥生に向き直り、真剣なまなざしで声をかける。
「弥生さん」
「なに?」
「俺、これからもずっと弥生さんのことを守っていきたい。何年経っても、ずっとそばにいて守り続けたいんだ」
弥生は柔らかく微笑んで頷いた。
「ありがとう」
愛斗はカバンから指輪のケースを取り出し、弥生の前に差し出す。
「俺と結婚してください」
「はい」
返事を聞いた瞬間、愛斗の顔には嬉しさがあふれた。
すると弥生は少し照れたように、こう告げた。
「私、離婚届を出したの」
「弥生……」
五郎との離婚が成立したことを知り、愛斗はますます喜びを深めた。
周りの力士や大樹たちからも次々に祝福の言葉をもらい、二人は何度も頭を下げた。
「ありがとうございます、みなさん」
「ありがとう、みんな」
「おめでとう!」
しばらく話し込んだ後、二人は連れ立って家へと帰った。
家に着くと弥生がキッチンへ立ち、愛斗は出来上がるのを待っていた。やがて食事の準備が整い、テーブルに着く。
今日のメニューはロールキャベツにスープ、そしてご飯だ。
二人は「いただきます」と手を合わせて食べ始める。
「弥生さんのロールキャベツ、めちゃくちゃ美味しいよ」
「そう? 良かった、ありがとう」
楽しく話しながら食事を済ませ、後片付けも終えるとリビングでくつろいだ。キスを交わし、少し甘い雰囲気に包まれたそのとき、弥生が突然胸のむかつきを覚えた。
慌てて台所へ向かおうとするも、吐くまでには至らない。
「弥生、大丈夫か?」
「うん……」
「どうしたんだ? 食べ過ぎたのかな?」
弥生は少し頬を染め、小さな声で告げた。
「もしかしたら……赤ちゃんができたかもしれない」
愛斗は一瞬驚いて聞き返す。
「誰が?」
「私が。愛斗くんの子供を授かったかも」
それを聞いた愛斗は、すぐに近くのドラッグストアへ走った。妊娠検査薬を買って戻ると、弥生は説明書通りに検査を行った。
結果は陽性。
はっきりと赤い線が浮かび上がっていた。
「赤ちゃん、いるみたいだ」
「本当に……?」
「この赤い線が出ているでしょ? 妊娠しているって意味なんだよ」
愛斗は喜びに胸をいっぱいにし、弥生をそっと抱き寄せた。
「弥生、赤ちゃん、楽しみだね」
「うん。できてくれて、本当に嬉しい。明日、産婦人科に行こう」
「ああ、行こう」
弥生は柔らかく微笑み、愛斗の手をそっと握った。
「それから……今日はプロポーズしてくれて、ありがとう」
愛斗は照れたように頷き、彼女を引き寄せる。
「こちらこそ、受けてくれてありがとう」
二人は見つめ合い、笑顔のまま唇を重ねた。
その後、甘いスイーツを囲んでささやかな時間を過ごし、夜は寄り添って眠りについた。
翌朝、目を覚ました二人は朝食を取り、昼過ぎまでゆっくりとくつろいだ。
それから支度を整え、市役所へと向かう。
窓口に婚姻届を提出し、手続きが完了した瞬間、二人は同じ名字となり、正式に夫婦となった。
二人は夫婦なり役場のスタッフに祝福されたのでおれいを
述べた。
二人はケーキバイキングに行き駐車場に車をとめて
降りた。