土俵際のくちづけーおかみさんの恋わずらい

五月場所の熱気とは裏腹に、末山愛斗(35)の心は冷え切った緊張感に包まれていた。
35歳。世間では働き盛りと言われる年齢だが、愛斗が情熱を注いでいるのは華やかなアイドルでも流行の音楽でもない。
土俵の上でぶつかり合う、力士たちの肉体と魂の躍動だった。
「おい、そこの若いの。お前、また来てるのか」
低く、傲慢な声が客室に響いた。相撲協会の重鎮であり、この部屋の会長でもある桐谷五郎だ。
彼は愛斗を胡散臭そうに見下ろすと、鼻で笑った。
「若い男が相撲なんて。その年なら、テレビでジャニーズだか韓国アイドルだかを見て騒いでりゃいいんだ。場違いなんだよ」
周囲に座る年配のファンたちから、クスクスと忍び笑いが漏れる。
愛斗は何も言い返せず、ただ膝の上で拳を握りしめ、歯を食いしばるしかなかった。
逃げるように観客席から一番離れた隅の席へと移動し、独り、孤独に耐えていた。  
愛斗はひとりでいると弥生がきた。
「……お疲れ様です。喉、乾いたでしょう?」
顔を上げると、そこには弥生がいた。
会長の妻であり、この部屋の「おかみさん」だ。彼女の微笑みを見た瞬間、愛斗の胸のうちは一気に歓喜で満たされた。
弥生はお盆から、丁寧に入れられた紅茶と、可愛らしい焼き菓子を愛斗の前に置いた。
「ありがとうございます……」
「これ、私が作ったの。あなただけに特別。他の方は、スーパーで買ってきた大福なんだけどね」
弥生は悪戯っぽく微笑んで、お盆の隅にある大量の大福を見せた。
「これを配ったら、また戻ってきますね」
そう言い残し、彼女は他の客たちの元へ向かっていった。
しばらくして、弥生が再び愛斗の隣に戻ってきた。周囲からは死角になる、静かな隅の席だ。
「弥生さん、焼き菓子、本当に美味しかったです」
「よかった。実はね、まだあるのよ」
弥生はエプロンのポケットから、小さくラッピングされたマフィンを取り出し、そっと愛斗の手に握らせた。
愛斗がその袋をよく見ると、小さなカードが添えられていた。
『今日、家に行くね♡ メールする』
心臓が跳ねた。
愛斗は思わず弥生の細い手を握りしめた。テーブルの下、誰にも見えない場所で、二人の体温が重なる。
弥生は拒むことなく、愛斗の目を見つめて優しく微笑んだ。愛斗もまた、力強く頷いて「待っています」と目で合図を送る。
二人は声を殺して笑い合った。それは、厳格な相撲部屋の空気の中では決して許されない、背徳的で甘いひとときだった。
その様子を、遠くから五郎がじっと見つめていることにも気づかずに。
繋いだ手こそ机に隠れて見えなかったが、二人の間に流れる「若さ」という名の親密な空気は、確実に老いた会長の神経を逆なでしていた。
「あの力士さん強いね」
「ありがとうございます」
弥生は愛斗を笑い五郎には見せない恋する女の顔になった。
愛斗は相撲鑑賞して家に帰宅。
愛斗は弥生がたっていた。
愛斗は弥生を迎え入れてからキスをした。
キスをしてから弥生は愛斗から抱かれて 
弥生は愛斗の腕の中にいて胸を触っていた。
「弥生好きだよ」
「私も好きだいすき」
「今日旦那は」
「キヤバラクラ」
「そっかぁおれが弥生の旦那ならそんなところ行かないけどな」
「ありがとう愛斗くん」