入学式が終わり、生徒たちはぞろぞろと教室へ向かい始める。
新しい制服。新しい教室。新しい友達。
誰もが少し浮かれたような表情をしていて、廊下には楽しそうな声が溢れていた。
私も本当なら、その輪の中に入りたいと思っていた。
高校では絶対に友達を作る。今までとは違う自分になる。そう決めていたから。
だけど――前のほうから聞こえてくる明るい声に、思わず足が止まりそうになる。
「ねえねえ、どこの中学だったの?」
「帰国子女って本当?」
「すごいね、英語ペラペラ?」
きゃっきゃっと楽しそうな女の子たちの声。
その中心にいる人物を見なくても、誰なのか分かってしまう。
……静だ。
案の定、廊下の先では静が何人もの女子に囲まれていた。
朝からそうだったけれど、やっぱり目立つ。
背が高くて、顔も整っていて、落ち着いた雰囲気まである。
本人は気づいているのかいないのか分からないけれど、どう考えても人目を引く存在だ。



