図書館の閉館時間。
私は急いで電気を確認しながら、
最後の鍵を閉めた。
夜風。
少し湿った夏の匂い。
その時。
街灯の下。
空くん。
壁にもたれたまま、
スマホを見てる。
でも。
私に気づいた瞬間、
少しだけ姿勢を起こした。
それだけで。
胸の奥が、
落ち着かなくなる。
「おまたせ!」
私は小走りで駆け寄る。
空くんが、
ゆっくり顔を上げた。
「……遅い」
「またそれ!
しょうがないでしょ!
仕事なんですー!」
すると。
空くんが、
少しだけ目を細める。
「走れんの?」
「え?」
「体力、
落ちてそう」
「落ちてないし!!」
私はむっと口を尖らせる。
「大丈夫だから!」
その瞬間。
空くんが、
半分吹き出すみたいに笑った。
「負けたほう、ジュースな」
「望むところ!」
◇
夜。
川沿い。
街灯。
静かな道。
私たちは、
並んで立つ。
風。
呼吸。
隣の足音。
懐かしいのに。
心臓だけ、
全然落ち着かない。
「っ、は……」
数分後。
私は思いっきり失速していた。
苦しい。
横腹痛い。
足重い。
その時。
隣から、
小さな笑い声。
「やっぱ体力落ちてる」
「うるさい……っ」
私は息を切らしながら睨む。
空くん、
めちゃくちゃ余裕。
むかつく。
「全然走れてない」
「今日は調子悪いの!!」
「言い訳」
「空くんが急なんだもん!」
私は膝に手をつきながら、
息を整える。
空くんも、
少しだけ笑った。
声は変わったのに。
隣にいる感じだけ、
ちゃんと空くんだった。
私は少しだけ息を整える。
夜風。
川の音。
「空くん」
「……ん?」
私は小さく笑った。
「……私、
走れなくなったけど」
空くんが、
少しだけこっちを見る。
私は前を向いたまま、
静かに続ける。
「……ちゃんと、
前向いてきたんだよ」
その瞬間。
空くんが、
少しだけ視線を落とす。
そして。
「……そっか」
短い言葉。
でも。
ちゃんと伝わった気がした。
空くんは、
少しだけ前を見た。
その横顔が、
やけに優しく見えた。
◇
帰り道。
街灯の光。
並ぶ影。
「……星野」
「ん?」
夜風が、
二人の間を抜ける。
空くんが、
少しだけ視線を落とす。
数秒の沈黙。
そのあと。
「……また来る」
私は思わず、
足を止めそうになる。
空くんは前を向いて、
小さく続けた。
「夏休み終わっても」
心臓。
どくん。
私はうまく返事ができない。
その時。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
「……だから」
「え?」
「ちゃんと走っとけ」
私は吹き出した。
「なにそれ!」
夜風が吹く。
隣を歩く歩幅が揃う。
聞こえる足音が、
少しずつ、
昔みたいに重なっていく。
私は急いで電気を確認しながら、
最後の鍵を閉めた。
夜風。
少し湿った夏の匂い。
その時。
街灯の下。
空くん。
壁にもたれたまま、
スマホを見てる。
でも。
私に気づいた瞬間、
少しだけ姿勢を起こした。
それだけで。
胸の奥が、
落ち着かなくなる。
「おまたせ!」
私は小走りで駆け寄る。
空くんが、
ゆっくり顔を上げた。
「……遅い」
「またそれ!
しょうがないでしょ!
仕事なんですー!」
すると。
空くんが、
少しだけ目を細める。
「走れんの?」
「え?」
「体力、
落ちてそう」
「落ちてないし!!」
私はむっと口を尖らせる。
「大丈夫だから!」
その瞬間。
空くんが、
半分吹き出すみたいに笑った。
「負けたほう、ジュースな」
「望むところ!」
◇
夜。
川沿い。
街灯。
静かな道。
私たちは、
並んで立つ。
風。
呼吸。
隣の足音。
懐かしいのに。
心臓だけ、
全然落ち着かない。
「っ、は……」
数分後。
私は思いっきり失速していた。
苦しい。
横腹痛い。
足重い。
その時。
隣から、
小さな笑い声。
「やっぱ体力落ちてる」
「うるさい……っ」
私は息を切らしながら睨む。
空くん、
めちゃくちゃ余裕。
むかつく。
「全然走れてない」
「今日は調子悪いの!!」
「言い訳」
「空くんが急なんだもん!」
私は膝に手をつきながら、
息を整える。
空くんも、
少しだけ笑った。
声は変わったのに。
隣にいる感じだけ、
ちゃんと空くんだった。
私は少しだけ息を整える。
夜風。
川の音。
「空くん」
「……ん?」
私は小さく笑った。
「……私、
走れなくなったけど」
空くんが、
少しだけこっちを見る。
私は前を向いたまま、
静かに続ける。
「……ちゃんと、
前向いてきたんだよ」
その瞬間。
空くんが、
少しだけ視線を落とす。
そして。
「……そっか」
短い言葉。
でも。
ちゃんと伝わった気がした。
空くんは、
少しだけ前を見た。
その横顔が、
やけに優しく見えた。
◇
帰り道。
街灯の光。
並ぶ影。
「……星野」
「ん?」
夜風が、
二人の間を抜ける。
空くんが、
少しだけ視線を落とす。
数秒の沈黙。
そのあと。
「……また来る」
私は思わず、
足を止めそうになる。
空くんは前を向いて、
小さく続けた。
「夏休み終わっても」
心臓。
どくん。
私はうまく返事ができない。
その時。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
「……だから」
「え?」
「ちゃんと走っとけ」
私は吹き出した。
「なにそれ!」
夜風が吹く。
隣を歩く歩幅が揃う。
聞こえる足音が、
少しずつ、
昔みたいに重なっていく。


