三年生。
春。
新しいクラス表。
廊下は、
ざわざわした声で溢れている。
「また同じクラスだー!」
「離れた最悪!」
そんな声が飛び交う中。
私は、
掲示板を見上げた。
……高い。
見えない。
「ちび、
背伸びしても無理じゃね?」
後ろから笑い声。
「うるさい!!」
もはや毎年の恒例。
私は男子を押しのけながら、
必死に目を凝らす。
三年二組。
その下。
|星野 紬
よし。
……空くんは?
私は視線を動かす。
そして。
「……あ」
見つけた名前。
|朝比奈 空
同じクラス。
しかも。
「え」
私は、座席表を二度見した。
窓側。
後ろから二番目。
その隣。
朝比奈 空
……うそ。
また、
隣。
「星野」
後ろから、
聞き慣れた声。
振り向く。
「空くん!!」
すると。
空くんが、
少しだけ座席表を見る。
数秒。
そして。
「……また隣」
空くんはそう言って、
少しだけ口元を緩めた。
◇
新しい教室。
新しい席。
隣には、
空くん。
私は鞄を置きながら、
小さく笑った。
「なんか戻った感じするね」
空くんは、
机に頬杖をつく。
「……何が」
「入学の頃!」
すると。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
そして。
「……またうるさくなる」
私は笑った。
「空くん、
ちょっと嬉しそう!」
「気のせい」
私は前を見る。
窓から入る風に、
髪が揺れてくすぐったい。
その時。
空くんが、
ふとこっちを見た。
「……もうつけてる」
「え?」
私は瞬きをする。
空くんの視線。
カチューシャ。
あ。
私は笑った。
「似合うでしょ」
空くんは、
少しだけ視線を逸らした。
そして。
「……まぁ」
数秒遅れて。
「……星野って感じ」
心臓が、
どくんと大きく跳ねる。
誤魔化すみたいに、
私は片手を挙げてみせた。
「これも!」
あの、
UFOキャッチャーで取ってくれた時計。
空くんは何も言わない。
でも。
耳だけ、
ちょっと赤い。
私はなんだか照れくさくなって、
慌てて前を向く。
窓から吹き込む春の風。
三年生。
最後の一年。
「……走るか」
空くんが言う。
私は笑った。
「走る!」
春の光が、
新しい教室を静かに照らしていた。
また。
隣から、
一年が始まる。
春。
新しいクラス表。
廊下は、
ざわざわした声で溢れている。
「また同じクラスだー!」
「離れた最悪!」
そんな声が飛び交う中。
私は、
掲示板を見上げた。
……高い。
見えない。
「ちび、
背伸びしても無理じゃね?」
後ろから笑い声。
「うるさい!!」
もはや毎年の恒例。
私は男子を押しのけながら、
必死に目を凝らす。
三年二組。
その下。
|星野 紬
よし。
……空くんは?
私は視線を動かす。
そして。
「……あ」
見つけた名前。
|朝比奈 空
同じクラス。
しかも。
「え」
私は、座席表を二度見した。
窓側。
後ろから二番目。
その隣。
朝比奈 空
……うそ。
また、
隣。
「星野」
後ろから、
聞き慣れた声。
振り向く。
「空くん!!」
すると。
空くんが、
少しだけ座席表を見る。
数秒。
そして。
「……また隣」
空くんはそう言って、
少しだけ口元を緩めた。
◇
新しい教室。
新しい席。
隣には、
空くん。
私は鞄を置きながら、
小さく笑った。
「なんか戻った感じするね」
空くんは、
机に頬杖をつく。
「……何が」
「入学の頃!」
すると。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
そして。
「……またうるさくなる」
私は笑った。
「空くん、
ちょっと嬉しそう!」
「気のせい」
私は前を見る。
窓から入る風に、
髪が揺れてくすぐったい。
その時。
空くんが、
ふとこっちを見た。
「……もうつけてる」
「え?」
私は瞬きをする。
空くんの視線。
カチューシャ。
あ。
私は笑った。
「似合うでしょ」
空くんは、
少しだけ視線を逸らした。
そして。
「……まぁ」
数秒遅れて。
「……星野って感じ」
心臓が、
どくんと大きく跳ねる。
誤魔化すみたいに、
私は片手を挙げてみせた。
「これも!」
あの、
UFOキャッチャーで取ってくれた時計。
空くんは何も言わない。
でも。
耳だけ、
ちょっと赤い。
私はなんだか照れくさくなって、
慌てて前を向く。
窓から吹き込む春の風。
三年生。
最後の一年。
「……走るか」
空くんが言う。
私は笑った。
「走る!」
春の光が、
新しい教室を静かに照らしていた。
また。
隣から、
一年が始まる。


