冷たい狼さん、私にだけは甘いです?!

そこからはほんとに大変だった。

うちのクラスの女子には囲まれるし、廊下出るのにも一苦労。

私何もしてないのに!



「なんで輝先輩に話かけられてるの?!」

「なにがあったの?」

「先輩笑ってなかった?!」


やめて、聞き飽きた。

知らない。

私だって知りたい。

なんでなんで、もーう!


―「疲れたぁ。」

「お疲れ菜々ちゃん。

大変だったみたいだね。」

「朝日せんぱーい。」


放課後、イラスト部。

部員十人、でもイラスト書くだけだから大半は幽霊部員。



でも部長の朝日先輩は、週二日来ている。


「私だって何が何だかって感じなのに…。」

「うちのクラスの子たちもなんか騒いでたなぁ。

透乃(とうの)が笑ったとかなんとか。」

「…うぅ。」


透乃…輝先輩の名字だ。

朝日先輩にもちゃんと届いてる…。


「あいつも人間だから笑うに決まってるのにね。」


さっぱりしてる朝日先輩と過ごすのは、今日どこ行っても質問攻めだった私にとっては気が楽だ。


「…三年間同じ学年の先輩も、そう思います?」

「ん?」

「その、輝先輩が笑うのは…珍しいと思いますか?」

「確かに、聞いたことはないし…見たことないかも?」


…なんでそんな先輩が私の前で笑ったの?



嫌にあのうさぎのチャームが目に入る。