「このポスト、いつ見ても無駄にクオリティ高いよな〜」
そんなことを言いながら、ムラなく色塗りされた段ボールをバシバシと叩く。
第一号はあたしが作ったけど、紙の取り出し口を設計し忘れて『ブタの貯金箱』運用になるところだった。
それを見かねて真央が作ってくれたのが、今の第二号。
真央は怖がられがちな見た目のくせに、案外手先が器用で便利なヤツ。
あたしの夏休みの工作を作ったのは全部真央、というのはあたしと真央だけの秘密だ。
「ちょっ、叩かないでください。雅さんの力加減だと壊れます」
「なっ……! あたしをなんだと思ってんの!?」
真央が憐れむみたいに目を細めて、あからさまな愛想笑いをよこしてきた。
「真央のくせに、むかつく!」
そんな鼻息荒いあたしを真央は華麗に無視して「解決屋さん帳」を開いている。
これは解決屋さんを始めると決めた時に、あたしが準備したノート。
管理とかが必要な気がして、父に余っているノートがないか尋ねた。
父はノートではなく、深いブラウンの革製のノートカバーをあたしにくれた。
中身のノートは自分でいいと思うものを選びなさい、と。
その時のあたしは、やる気に満ちていて教科書3冊分くらいありそうなこのノートを鼻息荒く買ったわけだけど……。
卒業までに埋まるかどうかは……自信がない。
真央は折り畳まれた紙のシワを丁寧に伸ばして、ノートに一枚ずつノリで貼り付けていた。
そしてその下に投函日や、依頼主を書き込んでいく。
あたしが勢いと思いつきで始めた「解決屋さん」。
それを真央はいつの間にかちゃんと仕組みにしてくれていた。
こういう細かいことは、あたしには向いていない。
……まあ、つまり。
解決屋さんが今も爆散せずに続いているのは、真央のおかげってこと。
絶対、本人には言わないけどね。


