あたしは折り畳まれた紙を両手ですくった。
すくいきれなかった紙たちが、手の隙間からぽとぽとと机に落ちる。
――誰よりも謙虚でありなさい。
ふいに、父の声が頭の奥で響く。
――そして、たくさんの人の役に立つ人間になりなさい。
桐ヶ崎家の娘として。
人の上に立つ者として。
小さい頃から、耳にタコができるくらい言われてきた言葉。
正直、あたしはこの言葉があまり好きじゃない。
謙虚。
慎ましく。
人の役に立つ。
……どれもこれも、あたしの性格とは真逆すぎるんだよな〜。
あの人はたぶん、上品な寄付だの慈善だの、いかにもお嬢様らしい人助けを想像してんだろうけど。
あたしは考えて考えて、物探しと恋の橋渡しで世の役に立つことにした。
だって、現実的に考えて中学生のあたしにできる人助けなんて、これくらいしか思いつかなかったし。
そうして生徒会長のあたしの一声で、「解決屋さん」なんて安直な名前の、いわゆる便利屋さんが爆誕したってわけ。


