「……あ」
しばらく歩いて、雅さんが急に立ち止まった。
「真央。犬って……何食べるんだっけ?」
僕は、思わず雅さんを見た。
雅さんの話題は、飛び石を渡るみたいにぴょんぴょんとあちこちを跳ねる。
それが僕には飽きなくて楽しい。
「……ドッグフード、でしょ」
「あ、そっか」
納得して頷いている雅さんを見て、ふと昔を思い出す。
『みやびちゃんが食べられると思った』
そう言って泣く僕に、聞きかじりの知ったかぶりで『犬はどっぐふーどをたべるんだよ』って教えてくれたのは、雅さんだったのに。
「真央、なに笑ってんの?」
「……いえ、なんでも」
雅さんは「真央のくせに生意気!」と口を尖らせた。


