テンプレお嬢様は犬も食わない!〜強がりお嬢様と泣き虫幼馴染〜



僕たちは並んで、雅さんの家へと歩き始めた。


僕と雅さんの間には、黒い犬がいた。

犬は、僕たち二人の歩幅にぴたりと合わせて、とことこと歩いている。


「ねえ真央。今日の『解決屋さん』、かっこよかったよね」


しばらく歩いてから、雅さんがふいに言った。


「真央とだったらさ、どんな依頼でも解決できる気がする」


今日の雅さんは素直だな。

どういう風の吹き回しだろう、と考え込んでいると、雅さんがまっすぐ前を見たまま言った。


「……高校に行っても、あたしと解決屋さん、やってくれる?」


僕は、少しだけ、笑った。

僕の答えなんてわかってるくせに、って。


「……逆に聞きたいんですけど、僕なしで解決屋さんが回ると思ってるんですか」


雅さんが、顔を真っ赤にしてぱしっ、と僕の肩をはたいた。


「今、いい雰囲気だったじゃん! なんでそういうこと言うかなぁ!?」


普通そういうのは自分で言わないんですよ、と言おうとして、やめた。

また「そういうところだよ!」と言われそうだったから。


「ねえ、高校行ったらさ、解決屋さん、校外活動もやろうよ。ヤンキーの溜まり場に行って、世直しとかさ!」

「バカなこと言わないでください……」

「あたしと真央ならできるよ!」


そう言って雅さんは、興奮気味にふんすと鼻を鳴らした。


でも、きっと本当に困っている人がいたら、雅さんはまた行くんだと思う。

怖がりながら。

そして僕も、止めながらも雅さんの後ろをついていくんだと思う。

……怖がりながら。