「……んだよ! 脅してんのかよ!」
「あら、人聞きがよろしくないですわ。父の名前であなた方を脅すつもりはございませんのよ」
あたしは後ろを振り返って、真央の手からスマホを受け取る。
そして、それはそれは得意げに掲げて見せた。
「必要なところへ、必要な証拠を届けるだけですわ」
煌々と光る画面には、録画中の表示。
「先ほどの会話、マロンの状態、あなた方の情けないお顔、それから制服。すべて記録済みですわ。……たいへん、わかりやすい証拠で助かりますこと」
あたしは録画中のスマホを構えたまま、不良の一人が肩に担いでいる棒切れを、目線だけで示してみせた。
ハッとした顔をして、不良は慌てて棒切れを地面に落とした。
カラン、と乾いた音が空き地に響く。
「あら。今さら隠しても、後の祭りですわよ」
「クソガキがふざけんな! 消せよ!」
先頭の男がズカズカと近づいてきて、スマホを奪おうと手を伸ばしてきた。
だけど、不思議と怖くはなかった。
次の瞬間。
真央が、あたしの後ろから手を伸ばして不良の手首を掴んだ。


