「おーい。誰だよ、勝手に俺たちのお庭に入ってんのは」
振り返ると、空き地の入口に、三人の少年が立っていた。
学ランを着崩した、あたしたちより年上の――たぶん高校生くらいの男たち。
手には、空き缶や、棒きれを持っている。
うげぇ……いまどきこんなにテンプレの不良がいるなんて。
先頭の一人があたしたちの後ろにいるマロンを見て、「あ」と声を上げる。
「なんだよ、お前、まだいたのかよ」
その声に、周りの二人がゲラゲラと下品に笑った。
……こいつらだ。
こいつらが、マロンにひどいことをしたんだ。
あたしは立ち上がって、2匹の犬の前に立ちはだかった。
握った拳に力がこもるのが、自分でもわかった。
「……あんたたちが、やったの?」
自分でも驚くくらい、低い声が出た。
先頭の男が、あたしを見る。
「は? なにが?」
「マロンの口に、バンダナを巻いたの。あんたたち?」
「マロン? あー、その犬の名前?」
男は悪びれもせず、空き缶を指先でくるくる回した。
「俺たちがここに連れてきたわけじゃねーよ。こいつが勝手についてきたんだから」
「おまけにうるさかったから、ちょっと黙らせただけだろ? しつけだよ、しつけ」
あたしの中で、今までかぶってきた仮面が、音を立てて剥がれ落ちた。


