テンプレお嬢様は犬も食わない!〜強がりお嬢様と泣き虫幼馴染〜



あたしたちは犬の後をついて空き地の奥へと進んでいく。


うげぇ……ますますヤバい雰囲気になってきた……。


「この先にマロンがいなかったら許さないからね……」

「犬相手に何言ってるんですか」


真央にたしなめられながら足を踏み出す。

もう、膝は震えていなかった。


その時、犬がぴたりと足を止めた。

錆びた自転車と破れたブルーシートの間。

そこに、小さな茶色い体が丸まっていた。


暗がりをじっと見つめて、目を凝らす。


うっすらと見える、赤いバンダナ。

片方だけ垂れた耳――。



「……うそぉ。ほんとにマロン?」


あたしの声に、マロンが小さく顔を持ち上げた。


ここまであたしたちを案内してくれた野良犬は、迷うことなくマロンのそばまで歩いていき、その横で同じように丸くなった。


だけどあたしはすぐにその違和感に気づく。


「……なに、あれ」