「…………はい?」
「ほら、もう大丈夫ですよ」
「あ、うん……いや、そうじゃなくて。あんたも犬、苦手だったじゃん!?」
「苦手ですよ。今も普通に怖いし」
「じ、じゃあ、なんで撫でてんの!?」
「……この子も怖がってたから」
真央は犬の頭を撫でながら、静かに言った。
「『守る』って、戦ったり追い払ったりすることだけじゃないんですよ」
そう言ってあたしを振り返った真央は、泣いたりなんかしていなかった。
だけど、ホッと安心したみたいに眉を寄せた真央は、あたしの知らない人みたいだった。
……なんなのよ、真央のくせに――。


