ボールを蹴り返した効果は抜群だった。
男の子たちは、わらわらとあたしたちの方へ走ってくる。
「なにー?」
「おねーちゃん、サッカーやってるの?」
「ううん、やってない。才能だよ」
「すげーっ!」
「雅さん……」
今度こそ本当に聞こえた。
あたしは真央を無視して、スマホに表示したマロンの写真を男の子たちに見せる。
「この子、見たことない?」
「犬だ!」
「赤いやつつけてる!」
「さっきいたよ!」
「ほんと!?」
男の子たちの声に、あたしの声のトーンが上がる。
「どこで見た?」
「商店街の裏!」
「ちがうよ、神社の方だよ!」
「赤い布の犬、パン屋さんの袋くわえてた!」
「それ違うよ、ユウキくんちの犬じゃない?」
……うーん、情報が多いな。
しかもどれもこれも信憑性に欠ける。
だって、商店街の裏と神社って真反対じゃん……。
この情報が全部正しかったら、マロンが4匹くらいいないと辻褄が合わない。
困って真央の方を見ると、いつの間にかメモ帳を取り出して男の子たちの情報を書き留めていた。
……さすが真央。
そうしてしばらく子どもたちから情報を聞き出していると、女の子ふたり組があたしたちのところにやってきた。
「おねえちゃん、犬探してるの?」
「うん。この犬なんだけど……このあたりで見た?」
あたしがスマホに表示したマロンを見せると、女の子たちは小さく頷きあった。
「このワンちゃん、空き地の方で見たよ」
「でも、あそこは怖いお兄ちゃんたちがいるから行っちゃダメってママに言われてるの」
あたしは真央と顔を見合わせた。


