「……もちろん。任せて。わたしと真央くんで、必ず見つけ出すから」
千夏の顔がぱっと明るくなる。
「ありがとう、雅ちゃん!」
と何度も頭を下げて、彼女は自分の席へ戻っていった。
その背中を見送ってから、あたしはそっと、隣の真央を見上げた。
引きつった作り笑いのまま。
「……真央」
「……大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけねーだろ」
真央だけに聞こえるボリュームで、公にできない言葉を噛み締めた。
『大丈夫なんですか?』なんてスカしている真央だって、犬が怖いくせに。
でも、泣いている千夏を前に断ることなんて、あたしにはできなかった。
たとえそれが、あたしが世界一苦手な犬を探す依頼だとしても。
「……真央、あたしを置いて逃げたら許さないから」
「雅さんこそ」
「あたしが逃げるわけないでしょ」
「足、震えてますけど」
「……武者震いだっつーの」
こうして犬嫌い二人による捜索チームが結成された。


