二十四歳の時の夏。
――今日は七月三十一日。
毎年花火大会が開催されていた日。
花火大会は、私が高校を卒業した年がラストだった。
なんとなく仕事の帰り道、橋の上に来てみた。
夜空を見上げて、それから、あの人がいた場所を眺めた。
そして、当時を思い出す。
***
中学校を卒業してからも、会う人がいた。
中学時代に同じクラスだった阿部くんと。
ちょっと特殊?な場所で。
花火大会の打ち上げ花火がとても綺麗に見える橋の上。
花のように広がるピンク色の花火も
にこにこ笑っている丸い顔の黄色い花火も
大きく開いた青い傘の花火も……
他にも色々。
全てが真正面で、はっきり花火が見える良い場所なのに、橋の上は空いていた。
とてもざわざわと人がひしめき合っていたのに。
高校一年生の時から花火大会が最後となった三年生の年まで、ふたりきりでそこにいた。
ふたりきりで。
花火大会の日だけ隣にいたの、なんか不思議。
記憶の中では数メートルほど距離が離れていた気がするけれども、一応隣、かな?
どのくらい離れていたのかは、記憶は曖昧。
私は派手めなグループにいたし、阿部くんは優等生で静かなタイプだったから、共通点なんてなかったし、会話した記憶もあんまりなかった。
別々の高校に進学していたし、会うことも話すこともないだろうなって思っていた。
だけど、高校生になって毎年花火大会の日だけ、ここで会った。
花火大会の時だけ、会話した。
「綺麗だね」
「うん、綺麗」
程度の、ひとことだったけれど。
あ、それと「バイバイ」って言い合ったっけ。
もうちょっと話しかければ良かったな。
でもなんか、私は誰とでも話せるタイプだったけれど、阿部くんと話す時は胸のあたりがギュッと締め付けられたようになって。
それに、阿部くんに頑張って話しかけたのに、返事はくれたけれど、目は合わせてくれなかったし。
もう何年も姿を見ていないけれど、阿部くん、元気かなぁ?
また花火大会の日のように、今、私の横にひょっこり現れないかなぁ、なんて、少し思った。
横を見ても当たり前だけど、阿部くんはいなかった。
阿部くんの空を見上げた時の、綺麗だった横顔を思い浮かべた。
なんか、青春だったな。
夜空を見上げた。
なんだか、空白だった。
――今日は七月三十一日。
毎年花火大会が開催されていた日。
花火大会は、私が高校を卒業した年がラストだった。
なんとなく仕事の帰り道、橋の上に来てみた。
夜空を見上げて、それから、あの人がいた場所を眺めた。
そして、当時を思い出す。
***
中学校を卒業してからも、会う人がいた。
中学時代に同じクラスだった阿部くんと。
ちょっと特殊?な場所で。
花火大会の打ち上げ花火がとても綺麗に見える橋の上。
花のように広がるピンク色の花火も
にこにこ笑っている丸い顔の黄色い花火も
大きく開いた青い傘の花火も……
他にも色々。
全てが真正面で、はっきり花火が見える良い場所なのに、橋の上は空いていた。
とてもざわざわと人がひしめき合っていたのに。
高校一年生の時から花火大会が最後となった三年生の年まで、ふたりきりでそこにいた。
ふたりきりで。
花火大会の日だけ隣にいたの、なんか不思議。
記憶の中では数メートルほど距離が離れていた気がするけれども、一応隣、かな?
どのくらい離れていたのかは、記憶は曖昧。
私は派手めなグループにいたし、阿部くんは優等生で静かなタイプだったから、共通点なんてなかったし、会話した記憶もあんまりなかった。
別々の高校に進学していたし、会うことも話すこともないだろうなって思っていた。
だけど、高校生になって毎年花火大会の日だけ、ここで会った。
花火大会の時だけ、会話した。
「綺麗だね」
「うん、綺麗」
程度の、ひとことだったけれど。
あ、それと「バイバイ」って言い合ったっけ。
もうちょっと話しかければ良かったな。
でもなんか、私は誰とでも話せるタイプだったけれど、阿部くんと話す時は胸のあたりがギュッと締め付けられたようになって。
それに、阿部くんに頑張って話しかけたのに、返事はくれたけれど、目は合わせてくれなかったし。
もう何年も姿を見ていないけれど、阿部くん、元気かなぁ?
また花火大会の日のように、今、私の横にひょっこり現れないかなぁ、なんて、少し思った。
横を見ても当たり前だけど、阿部くんはいなかった。
阿部くんの空を見上げた時の、綺麗だった横顔を思い浮かべた。
なんか、青春だったな。
夜空を見上げた。
なんだか、空白だった。



