「篠宮さん、本当にすみませんでした!」
「そんなに謝らなくていいよ。顔上げて」
人気のない、非常階段の踊り場。
背中を真っ直ぐに伸ばし、深々と頭を下げる営業部の後輩和泉くん。
誠心誠意謝ってくれているのはわかるのだけど、私はそれどころではない。
目の前に突き出される頭。
綺麗な放射線を描きながら自然に流れる髪とその中心にある、つむじ。
今まで目にしたどんなつむじよりも美しい。
ああ。触りたい。撫でたい。抱き寄せて、微かに露出する地肌に唇を這わせたい……。
だめだ! そんなことをしたらセクハラで訴えられる。
人のつむじに興奮してしまう私にとって、この状況は非常にまずい。
しかもかつてないほど私好みのつむじ!
私は彼に背を向けて、心を落ち着かせる。
「篠宮さん、怒ってますよね……」
「お、怒ってないよ」
背を向けているけれど、和泉くんがシュンとしているのがわかる。
本当に、本当に怒ってないんだよ。
ただ、普段お目にかかれないその無防備なつむじに動揺してしまっているだけ。
向かい合えないのは怒っているわけでなく、直視できないからなんです。
「でも……僕のせいで迷惑をかけてしまいました」
和泉くんが提出した資料のデータが間違っていて、それを私が修正した。
単純なミスだったし、私の仕事は営業事務だし、当たり前のこと。
彼は外回りに出てしまったのでデスクにメモを置いて報告しておいた。
けれどすごく責任を感じているみたいだ。
「今度から事前に私も確認するね」
「本当、すみませんでした」
ゆっくりと向き直り、和泉くんを見る。
まだ頭を下げていて、つむじがあらわになっている。
「いいから、早く頭上げて?」
やっと顔を上げた彼は、私よりも二十センチほど背が高く、もうつむじは見えていない。
しょんぼりした表情に申し訳なくなるけれど、起こってしまったミスは仕方のないこと。
私はじゃあね、と声をかけて深呼吸しながら部署へと戻った。
「そんなに謝らなくていいよ。顔上げて」
人気のない、非常階段の踊り場。
背中を真っ直ぐに伸ばし、深々と頭を下げる営業部の後輩和泉くん。
誠心誠意謝ってくれているのはわかるのだけど、私はそれどころではない。
目の前に突き出される頭。
綺麗な放射線を描きながら自然に流れる髪とその中心にある、つむじ。
今まで目にしたどんなつむじよりも美しい。
ああ。触りたい。撫でたい。抱き寄せて、微かに露出する地肌に唇を這わせたい……。
だめだ! そんなことをしたらセクハラで訴えられる。
人のつむじに興奮してしまう私にとって、この状況は非常にまずい。
しかもかつてないほど私好みのつむじ!
私は彼に背を向けて、心を落ち着かせる。
「篠宮さん、怒ってますよね……」
「お、怒ってないよ」
背を向けているけれど、和泉くんがシュンとしているのがわかる。
本当に、本当に怒ってないんだよ。
ただ、普段お目にかかれないその無防備なつむじに動揺してしまっているだけ。
向かい合えないのは怒っているわけでなく、直視できないからなんです。
「でも……僕のせいで迷惑をかけてしまいました」
和泉くんが提出した資料のデータが間違っていて、それを私が修正した。
単純なミスだったし、私の仕事は営業事務だし、当たり前のこと。
彼は外回りに出てしまったのでデスクにメモを置いて報告しておいた。
けれどすごく責任を感じているみたいだ。
「今度から事前に私も確認するね」
「本当、すみませんでした」
ゆっくりと向き直り、和泉くんを見る。
まだ頭を下げていて、つむじがあらわになっている。
「いいから、早く頭上げて?」
やっと顔を上げた彼は、私よりも二十センチほど背が高く、もうつむじは見えていない。
しょんぼりした表情に申し訳なくなるけれど、起こってしまったミスは仕方のないこと。
私はじゃあね、と声をかけて深呼吸しながら部署へと戻った。



