私だけの盾~冷徹上司の広い肩に溶かされて~

 お昼休みが終わって自席に戻り、私はじわじわと込み上げてくる涙を必死に堪えていた。
 どうしてこんなにも胸が苦しいんだろう。

(ああ、私……課長のことが好きなんだ)

 だけど、彼はもうすぐほかの人のものになる。自分の中の恋心に気づけたのに、同時に失恋が確定したのだ。
 そう考えたら、毎朝の満員電車で彼の背に甘えることも、オフィスでその広い肩幅を目で追うことも、不届きなことのように思えてならなかった。
 これ以上、好きになってはいけない。私は意識して彼の姿を視界に入れないよう努めた。

 ◇◇◇

 それから数日が経った。
 夕方の退社時刻、あとからぞろぞろとやって来た他部署の社員たちと一緒に、私はエレベーターに乗り込んだ。

(流れに逆らってでも、乗るのをやめたらよかったな……)

 そう思ったけれど、あとの祭りだった。先頭で乗った私は、押し込まれる形で一番奥の隅に追いやられてしまったのだ。
 エレベーターの機内はすし詰め状態で、人の熱気と狭い空間に、いつもの息苦しさが襲ってくる。
 早く着いてと願いながら、うつむいてウッと息を詰まらせた瞬間、目の前に大きな影が私をおおった。