私だけの盾~冷徹上司の広い肩に溶かされて~

(それにしても、本当に広い肩幅……)

 至近距離にある完璧なフォルムに、私は不謹慎にも目を奪われてしまう。
 なにを隠そう、私は〝広い肩幅〟が大好きなのだ。スーツの生地を押し上げるような、たくましくて硬そうなその肩に、自然と胸が高鳴ってしまう。

 オフィスでの八木下課長は、常に冷静沈着だ。
 部下のミスには容赦なく、冷徹とも言える態度で淡々と仕事をこなす。誰もが恐れる、近づきがたい存在。
 そんな冷たいはずの人が、どうして毎朝こんなに親切に私を囲ってくれるのだろう。

 ドクドクと、人混みの不快感とは違う理由で鼓動が速くなっていく。
 触れ合いそうなほどの距離にいるため、ふわりとさわやかなフレグランスの香りが漂ってきた。

 冷徹上司の頑丈な盾。その中に閉じ込められたこのときの私はまだ知らない。
 私の心が、彼の広い肩幅に跡形もなく溶かされていくことになるなんて――。