私だけの盾~冷徹上司の広い肩に溶かされて~

 顔に熱が集まってきて、それを隠すようにうつむいた。
 エレベーターの中で『俺も好きだよ、鞠乃』と言ってくれた彼の声が脳裏によみがえり、心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。

 視線を下げた私の視界に、彼の広い胸板が映った。
 やっぱり理想的なフォルムだ。じっと見つめていると、彼がおかしそうにフッと鼻で笑った。

「また見てるのか」
「あ、あの……。もうバレてもいいかなって思いまして」

 開き直ってそう言うと、彼は愛おしそうな眼差しを私に向ける。

「でも、ほかの男には見惚れるなよ?」
「もちろんです」

 笑みをこぼすと、彼は空いている方の手で私の髪にそっと触れた。

「繁樹さん」

 名前で呼ぶと、彼はわずかに目を細めた。
 私は誰にも見えないように、彼のスーツの袖をそっと掴む。
 その広い背中に守られながら、今日もおだやかに息を吸い込んだ。


 ――END.