私だけの盾~冷徹上司の広い肩に溶かされて~

 エレベーターが故障して緊急停止した日から、数日が過ぎた。
 あのあと私たちは連絡先を交換し、週末には初めてのデートをした。
 オフィスでのスーツ姿も素敵だけれど、私服姿の彼もカッコよくて、どこを歩いていてもそのスタイルのよさに私は見惚れてばかりだった。

「おはよう、鞠乃」

 月曜日。普段通り、途中の駅から乗り込んできた彼が私の隣に並ぶ。
 車両内は相変わらず満員だけれど、私の心は数日前とは比べものにならないほど安心感で満たされていた。
 彼はいつものようにドアに片手をついて、周囲から私を隠すように盾になってくれる。

「大丈夫か?」
「はい。課長がいてくれれば、全然平気です」

 そう言って見上げると、彼は眉を下げて私の耳もとに顔を近づけてきた。周囲の喧騒に紛れるような小さな声でささやかれる。

「会社に着くまでは、繁樹でいいと言っただろう」
「あ、ごめんなさい。つい、いつもの癖で」