私だけの盾~冷徹上司の広い肩に溶かされて~

 緊張が解けたせいもあり、私はバランスを崩してよろけてしまった。
 だけど床に倒れる前に、引き寄せられるようにして、たくましい腕の中にすっぽりと収められる。

 顔をうずめた場所は、ほどよく筋肉のついた彼の胸板だった。
 いつも私を人混みから守ってくれる、世界で一番広くて頑丈で、ずっと憧れていた肩――。

「私、……課長のことが好きなんです」

 胸に顔を埋めたまま、勢いで本心を伝えてしまった。どうしよう、告白なんてするつもりはなかったのに……。
 一瞬の間があき、頭上からフッと低い笑い声が聞こえる。
 課長は私をさらに強く抱きしめると、耳もとで愛おしそうにささやいた。

「知ってる。もう俺から離れるな」

 エレベーターが一階にたどりつき、ゆっくりと扉が開く。
 
「俺も好きだよ、鞠乃」

 私たちは視線を合わせフフッと微笑み合った。
 私だけの頑丈な盾にそっと頬を寄せる。それだけで、私の心は多幸感で満ちあふれた――。