氷の王子を笑わせたいっ!

「学校外でなにかスポーツチームに所属したりは?」

「ううん、してないよ」

「なら問題ないね」


 いや、なにが『問題ない』なの⁇

 問題大アリだよ!!


「だからわたし、野球なんてやったことないんだってば」

「それはさっき聞いた。けど、キャッチボールができるなら、とりあえずは問題ない」


 し、しまった……。


「ケガ人が出て、今野球部は八人しか部員がいない。一ノ瀬が入ってくれなければ、試合に出ることもできない」


 そんなこと言われたって……。


「わたしじゃなくてもよくない? ほら、他にもキャッチボールくらいできる人ならいくらでも――」

「探しているのはピッチャーだから。誰でもいいというわけじゃない」

 わたしの言葉に被せるようにして言う。


「だったらなおさら、わたしにはムリだよ」


 野球初心者のわたしにピッチャーをやれって?

 本当になに考えてるの、この人。


「さっき投げてもらったボール、ちゃんとストライクゾーンに入ってた。そういう度胸のあるヤツを探してた」

「いや、たまたま入ったからって――」

「あの雑巾の投げっぷりもなかなかのものだった。それで俺は確信した。浩輔の代わりができるのは、一ノ瀬しかいないって」

「いや、だから――」

「とにかく。力を貸してくれたら、あの件は忘れるから」

「っ……本当に?」

「ああ」

「絶対忘れてくれる?」

「もう二度と言わない」

「絶対だからね⁉」

「……あのさあ、いいかげんしつこいんだけど」

 冷たい視線を向けられ、ぐっと言葉を飲み込む。