氷の王子を笑わせたいっ!

「そうか。なら好都合だ」


 好都合……?

 なんだかイヤな予感しかしないんだけど。


「えっと……なにが好都合なのかなあ?」

「これに名前を書いて、あとで野球部顧問の大嶋先生のところへ持っていって」


 そう言いながら胸ポケットから取り出したのは……野球部の入部届!?


「わ、わたし、野球部に入るなんて、ひと言も言ってないよね⁉」


 いやいや、さすがにムリだって。

 だって、野球部って男子ばっかじゃん。

 それに、野球なんかやったことないし。


 っていうか、わたしなんかただの足手まといにしかならないでしょ。

 だってもう弟はわたしとキャッチボールすらしてくれなくなったんだよ?


「野球部に入部してくれたら、さっきの件は水に流すから」

「さっきの件って、雑巾を顔面にぶつけたこと?」

「それ以外になにがある?」


 いやまあ、それはそうなんだろうけどさあ。


「それって、野球部に入らなかったら許してくれないってこと?」

「そういうこと」

 上本くんがゆっくりとうなずく。


 いやいや、アレを許してもらうために野球部に入れって。

 さすがに代償が大きすぎない⁉