氷の王子を笑わせたいっ!

「どうしたの? ここ、ちょっと暑い?」

「いや……気づいてないならいい」

 上本くんが、ふいっと顔を逸らす。


 気づいてないならいいって。

 わたしに察しろって言われても、そういうの超ニガテなんだけど。


「わたしさ、気づかないうちに、ついおせっかいを焼き過ぎちゃうことがよくあるんだよね」

「うん、それはよく知ってる」


 グサッ。

 上本くんの攻撃がクリティカルヒット!


 ダメージになんとか耐え、気を取り直してもう一度口を開く。


「だ、だからさ、思ってることがあるなら、ちゃんと言ってね。わたしたち……バッテリーなんだし!」

「え。今はバッテリー関係なくない?」

 そう言う上本くんの口角がわずかに上がる。


 ……んんん⁇

 待って待って待って待って。

 今、上本くん笑った⁉


 けど、次の瞬間には、いつものすんっとした表情に戻ってしまっていた。


 見間違い……かなあ。

 今、絶対笑ったと思ったんだけど。

 ……やっぱり見間違いかなあ。


 なんてことを考えていたら――。


 ぐぅ~~~~。


「ご、ごめん……」


 盛大に鳴りすぎだから!!

 ちょっとは空気読んで! わたしのお腹!!


「いや。俺もお腹空いたって思ってたとこだから」

「そ、そうだよね! それじゃあ、なにか食べに行こっか」


 って、ひょっとして上本くん、わたしができるだけ恥ずかしくないようにって、空気読んでそう言ってくれたのかな。

 ほんと。敵わないなあ。