氷の王子を笑わせたいっ!

「びっっっっくりしたあ。上本くん、戻ってたんだ」

 振り向いて確認し、ホッと胸をなでおろす。


 その上本くんが、わたしの手元をじっと見つめている。


「あ、これ? えへへっ、わたしもやってみちゃった」

「……そっか」

 そう言うと、上本くんがガチャガチャに向かう。


 そして出てきたのは――。


「あーっ!! 南くんだ!!」

 思わず大きな声が出て、パッと口をふさぐ。


「……こっちがよかった?」

 上本くんが、手に持った南くんのフィギュアをわたしに見せる。


「う、ううん! だって、上本くんが取ったものだし」

「俺、そっちがほしかったんだけど」

「え、東条くん?」

 こくりとうなずく上本くん。


「だから、よかったら交換してくれない?」

「ももももちろん!」


 まさか南くんが手に入るなんて!!


 うれしくて、受け取ったフィギュアをぎゅっと胸に抱きしめる。


「そんなに好きなんだ」

「うん! めっちゃ好き。南くんって、『自分が!』ってタイプじゃないんだけどさ、みんなが気づかないようなところでさりげなくフォローしてくれてるってとこが、もう最っ高にカッコいいんだよね。そうだ、野球部にとって、上本くんって南くんみたいな人だよね!」


 自分たちのことをちゃんと見てくれてるって、先輩たちも言ってたし。


「……」


 うん? なんか上本くんのほっぺたが赤いような……?