氷の王子を笑わせたいっ!

「なんでって……今、上本くんが言ったんだよ。部員同士のコミュニケーションは大事だって。わたしたち、バッテリーなんだし! お互いのことをもっとよく知るのも大事だって思うの。……あ、別にイヤだったらいいんだけどね⁉ ムリに来てくれなくても――」

「そういうことなら、別にいいけど」

「え、あ、ほ、ほんと? じ、じゃあ、今度部活が休みの日……とかはどう?」

 おっけ―の返事が返ってくるなんて思ってなくて、思わずしどろもどろになっちゃう。


「わかった」


 本当にいいんだ……。


 ……え。ちょっと待って。

 言い出したのはわたしだけど、これどーすんの⁉


 上本くんとお出掛け⁇

 どどどどうしよう……!

 なに着ていけばいいの⁇


 ……って、別にデートに行くわけじゃないんだし。

 そもそもわたしがなにを着ていようが、上本くんが気にするわけないんだし?

 だいたいこのお出掛けの目的は、お互いのことをもっとよく知るためなわけで、オシャレなんて必要ないんだから。


 パンパンッとほっぺたを両手ではたく。


 そうだよ。なに浮かれてんの、わたし。

 このチャンスを活かさない手はないでしょ。


 だって、上本くんの好きなものがわかれば、上本くんを笑顔にできるかもだし。


 ……そうだよ。

 おせっかいかもだけどさ、上本くんにはやっぱり笑顔を取り戻してほしいよ。

 ツラい過去を忘れることはできないかもだけど、楽しい未来を作ることはできると思うし。


 よしっ。そうと決まれば、上本くんの大好き探し大作戦!

 絶対成功させるぞー!!