氷の王子を笑わせたいっ!

 その背中を見送っていた上本くんが、わたしたちの方を見る。


「……で? 二人はこんなとこでいったいなにしてたの?」


 ギクッ。


 絶対に言わないって約束しちゃったから、上本くんの話をしてたってことは絶対に言えないし……。

 じゃあ、なんて言い訳するつもり⁉


「あー……それはだなあ……アレだよな、アレ。な、一ノ瀬!」

「あ、う、そ、そうそう。アレだよね、遠藤くん!」

「そう。…………別に部内恋愛が禁止されてるわけじゃないんだし。そんなふうにコソコソしてないで、堂々とすればいいのに」


 部内恋愛が禁止されてるわけじゃない……?


 ちょっと待って⁉

 完全に遠藤くんとの仲を誤解されちゃってるじゃん!!


「ち、ちがっ……」

 そう言いかけて、ぐっと言葉を飲み込む。


 じゃあ、なんて言い訳するつもり?

 上本くんにこんな誤解をされたままなんて絶対イヤなのに!


 ……イヤ?

 え、なんでイヤなの?


 そ、そうだ。遠藤くんがイヤだろうなってことだよ。

 わたしなんかと勘違いされたら。


 けど、正直本当のことを追及される方が百倍困る!


 チラリと遠藤くんの方を見ると、『ごめん!』と言いたげな顔で、両手を合わせてわたしを拝んでいる。