氷の王子を笑わせたいっ!

 そんなことを考えていたら、また胸のあたりがぎゅっと苦しくなってきちゃった。


 別にわたしが二人の間に割って入る必要なんてないのにね。

 ほんと、なに考えてるんだろ。


 わたしはただの臨時の助っ人で。

 遠藤くんの肩が治ったら、わたしは用ナシなんだから。


「ありがとね、遠藤くん。いろいろ教えてくれて」

「いや。一ノ瀬には、俺のせいでめっちゃ迷惑かけてるからさ」

「ううん。最初は絶対ムリ! って思ってたけど、やってみると意外と楽しいし」

「……」

 遠藤くんが、なぜか黙ったままわたしの顔をじっと見つめてくる。


「え、わたしの顔、なにかついてる?」

 わたしがペタペタと自分の顔を触っていると、「ああ、違う違う」と遠藤くんが左手をひらひらと左右に振る。


「拓海の新しい相棒が一ノ瀬でよかったなーって思って。普段あんなだから、『どうせ俺らのこと見下してるんだろ』とかって誤解されることも多くてさ。でも、一ノ瀬は拓海とちゃんと向きあって、理解しようとしてくれてる。それがうれしくてさ。アイツのこと、頼んだぜ、一ノ瀬」

 遠藤くんがニカッと笑う。


「うん。わたしに任せて!」


 なんて思わず流れで言っちゃったけど、別に上本くんは、わたしの助けなんか必要としてないと思うけどね。


 けど、上本くんに笑顔が戻ればいいのにって、心から思う。


 でも、それができるのはきっとわたしじゃない。

 ずっと一緒にやってきた遠藤くんにしかできないんだろうなって思う。


 ……ちょっとだけ寂しいけど。ちょっとだけね。