氷の王子を笑わせたいっ!

「よっ。昨日はお疲れー。とりあえず肩とか肘とか問題なさそ?」

 翌日の昼休み、廊下を歩いていたら、遠藤くんに声を掛けられた。


「あ、遠藤くん。うん、大丈夫。なんともないよ。昨日は本当にありがとね」

「別にいいってー。俺も久しぶりに野球部に顔出せて楽しかったし。それに、アイツのあんな楽しそうな顔、久々に見れたしな」

「楽しそうな顔?」


 ひょっとして、上本くんのことを言ってる?


「全然楽しそうには見えなかったけど……」


 楽しそう、どころか、いつものポーカーフェイスが崩れることすら一度もなかったし。

 ほんと、どうやったら笑ってくれるんだろ?

 見当もつかないよ。


 ……そうだ、遠藤くんなら!


「ねえ、上本くんの笑いのツボって、どこにあるか知ってる?」

「は、笑いのツボ? ……ひょっとして一ノ瀬、拓海のこと、笑わせたいわけ?」

「うん。だって、野球やってる間も全然笑わないんだもん。好きなことをやってるはずなのに笑わないなんて、絶対おかしいよ」

「あー……」

 遠藤くんが言葉を濁す。