氷の王子を笑わせたいっ!

 ……いやいや、どこが⁇

 全然似てなくない⁉


 そんな遠藤くんの背中を黙って見送っていた上本くんが、「今日はもう終わりにしよう」と言って歩きだす。


「え、ちょっと待ってよ。まだ最後のボール、投げてないんだけど」

 上本くんの背中に声を掛けると、上本くんが立ち止まって振り返る。


「完全に集中力切れてるよね? 今やってもいい投球になるとは思えないから。慣れない変化球の練習で疲労が溜まっているはずだし、明日までしっかり休んで」

 そう言うと、ふたたび歩きだす。


「えぇっ……」


 こんな中途半端な感じで終わっちゃうなら、最後のカーブ、さっさと投げとけばよかったあ!


「……あーもうっ。わかったから、おいてかないでよお」

 上本くんの背中を、わたしは小走りで追いかけた。