氷の王子を笑わせたいっ!

「なんだよ。うまくやってんのかなって実は超心配してたんだぜ? ちゃんといいコンビやってんじゃん、拓海」


 え……いいコンビ?

 わたし、ずっと上本くんに怒られてる気しかしないんだけど⁇


「……練習の邪魔するなら帰って」

「え、ひどっ。俺のこと頼っといて、その言い方はないんじゃないの?」

「そうだよ! 今のは上本くんが悪いと思う。遠藤くんにちゃんと謝って」

 わたしと遠藤くんの両方から責められ、上本くんがキャッチャーマスクを外しながら立ちあがる。


「……俺が悪かった。今日は来てくれて本当に助かった。ありがとう」

 そう言って、上本くんが遠藤くんに向かって頭を下げた。


「いや、まあ、そこまでしろとは言ってないんだけどさあ。……ちょっとからかっただけだったんだけど。相変わらず冗談が通じないんだから」

 苦笑いしながら遠藤くんが頭をかく。


 え、からかっただけ……?

 わたし、めっちゃ本気で上本くんに怒っちゃったんだけど。


 オロオロするわたしを見て、遠藤くんがまた笑う。


「ははっ。こっちも冗談通じないタイプだったか。意外と二人、似てんのかもな」

 そう言うと、遠藤くんは「そんじゃ、先帰るわ」と言って、グラウンドをあとにした。