氷の王子を笑わせたいっ!

 それからみっちり一時間指導してもらい、太陽が西の空を真っ赤に染める頃。


「それじゃあ、最後に一球ずつ投げたら終わろう」

「うん。じゃあ、まずはチェンジアップからね」


 パンッ。


「おっけー。次はカーブ」


 えーっと、カーブの握りはこうで……ボールを離す瞬間に、ボールを指先から抜くようにする……っと。


「手元をあんまり見ないようにして」

「あ、そうだった」


 って言われても、ちゃんとボールの縫い目を見ないと、うまく握れないんだよね。


「拓海の言うことは気にすんな。最初はみんなそんなもんだからさ」

 上本くんに聞こえないくらいの声で、遠藤くんがこそっとフォローしてくれる。


 優しいなあ。誰かさんと違って愛想もいいし。

 なにより、教え方が優しいし!


「……いいから早く投げて」

「わかってるし。上本くんも、早く構えてよね」

 ミットを下げて文句を言う上本くんに、口を尖らせるわたし。


 そんなわたしたちのやりとりを見ていた遠藤くんが、「ははっ」と声を立てて笑う。