氷の王子を笑わせたいっ!

 落ち着け、わたし。


 すーっと大きく息を吸い込むと、

「わかりました! よろしくお願いします!」

 と大声を出す。


「ははっ。いい元気だ!」

「そのくらい元気な球頼んだぞ!」

「はいっ!」


「ど真ん中でいい。まずは一球入れていこう」

「うん!」

「緊張する必要はないから。楽しんで投げて」

「うん! ……えぇっ⁉」


 野球は楽しむものじゃないって言ってなかったっけ⁇


「別に他人が楽しむことまで禁止するつもりはないから」

 そう言うと、上本くんはわたしのグローブに軽くタッチして戻っていった。


 なんだか『大丈夫だよ』って言われたみたい。

 うん。大丈夫。わたしは一人じゃないんだから。

 目の前には上本くんがいるし、うしろには頼りになる先輩たちもいる。


 もう一度大きく深呼吸すると、わたしは上本くんのキャッチャーミットをしっかりと見据えた。