氷の王子を笑わせたいっ!

 ……なんて言っちゃったんだけど。

 翌日、野球部の練習に参加して、さっそく大後悔!


「今のは捕れたよね」

「なにやってるの。すぐベースカバーに入って」

「だから投げ終わったからってぼーっとしないで」


 ねえ、あんまり怒らないでってわたし言ったよね⁉

 なんか練習が始まってからずーっと怒られてない、わたし⁇


「勘違いしないで。叱ってるわけじゃなくて、あくまでも適切な指導だから」


 え、わたしの心の声、聞こえた⁇

 超怖いんだけど⁉


「ははっ。そのくらい、いつものことだから」

「そうそう。こんなんで驚いてたら、やってけないよな」

 セカンドの加藤先輩とショートの佐橋先輩がうんうんとうなずき合っている。


 そ、そうなんだ……。


「つまり、それだけ俺らのこと、ちゃんと見てくれてるってことなんだけどな」

「アイツにはなんもヒミツにできないよなー」

「浩輔の肩の故障に最初に気づいたのも、アイツだったしなあ」

「俺ら、全然気づかなかったのにな」

「なんつーかさ」

「ああ」

「「アイツだけは敵に回したくないよな」」

 先輩たちが口を揃えて言う。


 た、たしかに……。


「加藤先輩、佐橋先輩、大会までにそいつをなんとかしなくちゃいけないんで、練習再開していいですか?」

「お、おう、悪い」

「邪魔したな!」

 先輩たちが笑顔で小さく手をあげ守備に戻ると、上本くんはシートノックを再開した。