神の愛

 逆に俺は母さんが子守唄を歌っている姿は数回見たことがあった。

 母さんは集落の奴らの子ども達の面倒をいつも見ていた。そのなかには俺より幼い奴らなんて無数にいて、母さんはそいつらに子守唄を歌っていた。

 有名なものからあまり聞き馴染みのないものまで母さんは口ずさんでいた。

 時間だけは有り余っていたから、調べては練習して、調べては歌っていたんだろうと今になって分かる。

 それほどに母さんは子ども達に対して子守唄を歌っていた。俺が覚えてしまうほどには。

「母さんもこんな気持ちだったんかな」

 子守唄が効いたのか、身体を揺らしたのが効いたのか、朝のミルクが満腹中枢を刺激したのか、俺の手の中で赤ちゃんはスヤスヤと眠りにつく。

 その顔は本当に俺に似ていなくて、可愛らしかった。

「どんなことになったって、俺がお前を守ってやるからな」

 俺が頬に手を添えれば、赤ちゃんは俺の手にスリスリと頬を擦り付けた。