神の愛

 ネットで調べたが、首が据わるのは4~5か月くらいとのことだった。そうであれば、この子は4~6か月くらいだろう。離乳食を食べられる頃だ、とも書かれていたから、帰り道で十倍がゆの材料でも買って帰ろうか。

 それにしても寝ないなと思いながら、身体を左右に揺らす。朝のミルクを飲んだのだからまた、寝るだろうと思っていたが、どうやらそうは上手くいかない、ということが分かった。

 世の中の母親達の苦労が分かる。

「ねむれ ねむれ 母のむねに
 ねむれ ねむれ 母の手に
 こころよき 歌声に むすばずや 楽しい夢

 ねむれ ねむれ 母のむねに
 ねむれ ねむれ 母の手に
 あたたかき そのそでに つつまれて ねむれよや

 ねむれ ねむれ かわいい わが子
 ひとよ いねて されてみよ
 くれないのバラの花 ひろくぞよ まくらべに」

 記憶のなかの母さんが歌っていた子守唄を歌いながら、身体を揺らす。

 この子が寝なければ、出掛ける準備の一つもできない。今日は午前中に大学の先輩と高校の後輩と会う予定が入っている。その準備をしなければいけない。そのためには一時的にも、この子に寝てもらわなくてはいけない。

「ねんねんころりよ おころりよ
 坊やはよい子だ ねんねしな

  坊やのお守りは どこへ行った
  あの山こえて 里へ行った

  里のみやげに 何もろうた
  でんでん太鼓に (しょう)(ふえ)

 ユラユラと身体を揺らす。

 お袋が子守唄を歌っている姿は見たことがなかった。

 当然だ。

 俺がお袋とあったのは十歳のときで、その時点で俺より年下の子どもがお袋の側には誰もいなかった。だからこそ、俺はお袋が子守唄を歌っている姿を見たことはない。

 お袋は俺以降は誰も引き取らなかったから、お袋が俺より年下の子どもを育てている姿は結局、見たことがない。