神の愛


 辿り着いた会議室で今日の高校大学交流会の参加者を待っていれば、扉が開く。

 姿を現したのは高校の後輩の一人だ。来年度は高校3年生になると言っていた後輩だ。口も頭も軽くて非常に未来が心配になるタイプの人間だ。成績は悪くないらしい。

「口悪いっすね~。いや、それにしても可愛い子っすね。どういう関係の子なんすか?」
「朝起きたから隣にいた」
「は?」

 ベビーカーのなかで熟睡する赤ちゃんを覗き込みながら、言葉は俺の方に向いてくる。

 心配や驚きより興味が勝っているときの動きだな。俺が高校時代も同じように興味が勝っていたときは似たような感じだったことがあった。

 俺の言葉に目を見開く後輩に一つ溜息をつく。俺の口から発された言葉が有り得ないのは分かるが、その反応をされると傷付く。

「起きたらいたんだよっ。今、親父と兄の一人が確認取ってくれてるから、その間は俺は面倒見てんだよ」
「はあ、そりゃあ、大変だ。頑張ってくださいね」
「言われなくても」

 後輩が若干、引いているのが目に見えて分かる。それを極力表情に出さないように努力しているのは認める。それでも、馴染みの後輩に引かれると精神的ダメージが入る。

 この顔、絶対に信じてないか、お前の子どもだろって顔だ。分かる。だって、俺の後輩だから。俺だって先輩から同じこと言われたら、同じ顔する。