その日の夜。お父さんに話すと了解がもらえたことを知らせるため、朱音ちゃんに電話をすることにした。
「……あっ、もしもし。月菜ちゃん」
電話に応答する前の時間が、いつもより遅いように感じた。
朱音ちゃんは無理して明るく振舞おうとしているように思えた。
「さっき、お父さんに話したら了解してもらえたの。だから、どうかなって思って。私は賛成だよ」
私は何をとは言わなかったけど、伝わったみたい。
「でも、私を見捨てないに等しい人だよ。今更、そんなこと言われても……」
朱音ちゃんの声が急に暗くなる。
泣いているみたいで、鼻をすする音が聞こえてくる。
「そうだよね。朱音ちゃんの気持ちもわかるよ。でも、いつまでも過去に囚われていていいの?」
朱音ちゃんを嫌な気持ちにさせないように、慎重に私の意見を述べた。
「月菜ちゃんの言う通りかも。でも、もう少し考えてもいいかな?」
「だったら、明日、朱音ちゃんの家に行ってもいいかな?」
私は直接会って話したいと思って、そう言ってみた。
「いいよ。待ってるね」
「朱音ちゃん、急にごめんね」
「昨日の会話を最後に、しばらく会わないのは落ち着かないもんね。入って」
朱音ちゃんも私と同じ気持ちだったようだ。
「朱音ちゃん、夏休みに買い物した時に言っていた本の上巻を持ってきたんだけど見る?」
私は暗い雰囲気にならないように、明るい話題のきっかけになる本を持ってきた。
「覚えててくれたんだね。見せて」
「実はしばらく忘れていて、最近思い出したから持ってきてみたんだ」
「本題に入るね」
朱音ちゃんは少し本を見てから、そう言ってきた。朱音ちゃんはしばらく、声を発しない。
「私、月菜ちゃんと一緒に暮らすことにすると決めたよ。昨日言っていた月菜ちゃんの言葉に、意表を突かれて」
私は、てっきり断るんだと思っていた。
そして、自分の言った言葉がちゃんと相手に伝わっていて良かったと思えた。
「本当?いいの?家に帰ったら、伝えておくね」
「改めて今日からよろしくお願いします」
あれから一週間。
朱音ちゃんが私の家にやってきた。
クリスマスにあげた、ヘアゴムを着けてくれていた。
あの日、帰ってからお母さんにそのことを伝えると、当たり前のように受け入れてくれた。
でも、どこか嬉しそうだった。
「そんなに硬くならなくていいよ、朱音。家族いばしょなんだから」
「お母さんの言う通りだ。朱音改めてこれからよろしく」
お母さんに続いて、お父さんも朱音ちゃんに挨拶をする。本当に今日から正式に家族なんだね。
「朱音ちゃん、こんな狭い部屋でごめんね」
両親が物置部屋として使っていた部屋を片付けてくれて、使いやすくなったけれど、一人暮らしをしていた朱音ちゃんとしては、物足りないはず。
「そんなことないよ。これから、月菜って呼んでいい?」
「もちろんだよ、お姉ちゃん。家族だもんね」
やっと、お姉ちゃんと呼ぶことができ、本当の姉妹らしい関係になったように感じた。
「月菜、朱音。ご飯できたわよ」
居間でお母さんが呼んでいる。
ご飯を食べたら、朱音ちゃんの荷解き作業がたくさんある。
「もう、夜に公園に出かける必要は全くなくなるね」
お姉ちゃんが独り言のように、何気なく呟いた。
「そうだね。でも、これからはずっと一緒だよ」
「……あっ、もしもし。月菜ちゃん」
電話に応答する前の時間が、いつもより遅いように感じた。
朱音ちゃんは無理して明るく振舞おうとしているように思えた。
「さっき、お父さんに話したら了解してもらえたの。だから、どうかなって思って。私は賛成だよ」
私は何をとは言わなかったけど、伝わったみたい。
「でも、私を見捨てないに等しい人だよ。今更、そんなこと言われても……」
朱音ちゃんの声が急に暗くなる。
泣いているみたいで、鼻をすする音が聞こえてくる。
「そうだよね。朱音ちゃんの気持ちもわかるよ。でも、いつまでも過去に囚われていていいの?」
朱音ちゃんを嫌な気持ちにさせないように、慎重に私の意見を述べた。
「月菜ちゃんの言う通りかも。でも、もう少し考えてもいいかな?」
「だったら、明日、朱音ちゃんの家に行ってもいいかな?」
私は直接会って話したいと思って、そう言ってみた。
「いいよ。待ってるね」
「朱音ちゃん、急にごめんね」
「昨日の会話を最後に、しばらく会わないのは落ち着かないもんね。入って」
朱音ちゃんも私と同じ気持ちだったようだ。
「朱音ちゃん、夏休みに買い物した時に言っていた本の上巻を持ってきたんだけど見る?」
私は暗い雰囲気にならないように、明るい話題のきっかけになる本を持ってきた。
「覚えててくれたんだね。見せて」
「実はしばらく忘れていて、最近思い出したから持ってきてみたんだ」
「本題に入るね」
朱音ちゃんは少し本を見てから、そう言ってきた。朱音ちゃんはしばらく、声を発しない。
「私、月菜ちゃんと一緒に暮らすことにすると決めたよ。昨日言っていた月菜ちゃんの言葉に、意表を突かれて」
私は、てっきり断るんだと思っていた。
そして、自分の言った言葉がちゃんと相手に伝わっていて良かったと思えた。
「本当?いいの?家に帰ったら、伝えておくね」
「改めて今日からよろしくお願いします」
あれから一週間。
朱音ちゃんが私の家にやってきた。
クリスマスにあげた、ヘアゴムを着けてくれていた。
あの日、帰ってからお母さんにそのことを伝えると、当たり前のように受け入れてくれた。
でも、どこか嬉しそうだった。
「そんなに硬くならなくていいよ、朱音。家族いばしょなんだから」
「お母さんの言う通りだ。朱音改めてこれからよろしく」
お母さんに続いて、お父さんも朱音ちゃんに挨拶をする。本当に今日から正式に家族なんだね。
「朱音ちゃん、こんな狭い部屋でごめんね」
両親が物置部屋として使っていた部屋を片付けてくれて、使いやすくなったけれど、一人暮らしをしていた朱音ちゃんとしては、物足りないはず。
「そんなことないよ。これから、月菜って呼んでいい?」
「もちろんだよ、お姉ちゃん。家族だもんね」
やっと、お姉ちゃんと呼ぶことができ、本当の姉妹らしい関係になったように感じた。
「月菜、朱音。ご飯できたわよ」
居間でお母さんが呼んでいる。
ご飯を食べたら、朱音ちゃんの荷解き作業がたくさんある。
「もう、夜に公園に出かける必要は全くなくなるね」
お姉ちゃんが独り言のように、何気なく呟いた。
「そうだね。でも、これからはずっと一緒だよ」


