ショートスリーパーの貴方と不眠症の私

「月菜ちゃん、いい感じになってきたよ。順調だね」

夏休みは中盤。一日おきくらいの頻度で朱音ちゃんの家で伴奏の練習をさせてもらっている。

最初は、感覚を取り戻すだけで精一杯だった。



「そうかな?ありがとう」

ピアノをやめてから、しばらく鍵盤に触れることはなかったけど、少し練習すると思ったより体が感覚を覚えていた。



「絶対に成功させて、凛ちゃんって子見返そうね」

朱音ちゃんは自分のことのように、意気込んだ。

「うん。頑張る」



「こんな大型店舗、初めて来たよ」

夏休みは終盤。

今日は午後から買いたいものがあったため、朱音ちゃんを誘って本や文房具などが売っている、複合書店にやってきた。



「そうだったんだね。私は数回あるかな」

朱音ちゃんは施設育ちのため、こういう場所に来る機会がなかったのだろう。

外出自体も私に比べるとあまりしてないのではないのだろうか。



「月菜ちゃんは、何を買いに来たの?」

店内に入ると、朱音ちゃんは物珍しそうに辺りを見回しながら、私に訊ねてきた。

「参考書と好きな小説の新刊だよ」



「あ、あった」

私は参考書を手に取ってから、小説コーナーに向かった。

すぐに目的の本を見つけた。

パラパラと捲り、軽く立ち読みをする。

「それ何の本?」

朱音ちゃんに本の表紙を見せる。



「月菜ちゃん、その作家さんが好きなんだね。私、図書館で借りて読んですごく面白かったこと覚えてる」

「私、全巻持ってるから今度貸してあげるね」

朱音ちゃんと同じ好みなんて嬉しい。

今度、貸すという約束を作ればまた会えるってことになるよね。



「私の用事は終わったよ。朱音ちゃんは他に見たいものある?」

会計を済ませて、朱音ちゃんに訊ねる。

「私は文房具も見たい」



「月菜ちゃん、お揃いのシャーペンとか買わない?」

一通り文房具売り場を見た後、朱音ちゃんがそんなことを言い出した。

「いいよ。じゃあ、このシャーペンの色違いにしよう」

そして、私は青、朱音ちゃんはオレンジ色のシャーペンを買った。



「朱音ちゃん、今日はありがとう。姉妹で買い物できるなんて夢みたいだよ」

近くのカフェに寄り、私はスムージー、朱音ちゃんは紅茶を注文した。

「こちらこそだよ、月菜ちゃん。姉妹で買い物最高に楽しかったよ」

朱音ちゃんは満面の笑みで言葉を返す。

なんとなく、姉妹という言葉を強調して言っているように思えた。

「私、このお揃いのシャーペン大事