ショートスリーパーの貴方と不眠症の私

「……っ、……っ」

下校中、体が怠くなって歩くことができなくなり、道端に座り込んでしまった。

遅くまで、学校に残ってたため周りには下校中の生徒などはいない。

家までは、もう少し距離がある。



「月菜ちゃん、大丈夫?」

後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきて足音が近づいてくる。

「ど、どうしたの?」

私の顔を朱音ちゃんが覗き込んできた。

声の震えからは、焦っていることが伝わる。



「下校中に……体調……悪くなって、帰れなくなった。……多分寝不足。」

「私の家はすぐそこだから、休んで行っていいよ。歩けそうかな?」

朱音ちゃんは私を支えながら、連れて行ってくれた。



「休んでて。私、部屋にいるから。もし何かあったら教えて」

朱音ちゃんは家に入ると、居間にすぐに布団を敷いてくれた。

「何から何までごめんね。ありがとう」



「月菜ちゃん、体調どうかな?」

一時間ぐらい経つと、朱音ちゃんが部屋から戻ってきた。

「さっきより楽になったよ。だから、そろそろ帰るね」



「泊まっていっていいよ」

私が体を起こそうとするのと同時に、朱音ちゃんがそんなことを言い出した。

「で、でも……」

さすがに朱音ちゃんに申し訳ない。

でも、無事に家にたどり着ける自信はない。



「色々話したりしよう。私、これからご飯作って食べるけど、月菜ちゃんの分も用意していい?」

朱音ちゃんは私が泊まる流れで話を進める。

私の表情から帰れないだろうと察してくれたのかもしれない。



「いいの?お願いします」

私は素直に甘えさせてもらうことにした。

「いいよ。準備するから待っててね」

そう言って、朱音ちゃんは台所に行って準備を始めた。

料理をしている姿は、いつもの朱音ちゃんより大人っぽく見えた。



「お待たせ。できたよ」

朱音ちゃんは夕食を運んでくれた。

「簡単なものでごめんね」

夕食は卵の乗ったうどん、いわゆる月見うどんだった。

「そんなことないよ。いただきます」

温かい出汁が体に染み渡って、美味しい。

万全ではない私の体には丁度良かった。