夜を越えてしまう前に



梅雨のある日。

大雨で部活が中止になって、私は図書室へ向かった。

電気の消えた薄暗い部屋。

窓際の席で、遥香が眠っていた。

机には開いたノート。

そこには、細い字でこう書かれていた。

“明日が来るのが少し怖い“

私は目をそらせなかった。

普段の彼女からは想像できない言葉だった。

その時、遥香がゆっくり目を開けた。
「見ちゃった?」

怒られると思った。

でも彼女は、困ったみたいに笑った。

「秘密にしてくれる?」

私は小さくうなずいた。

すると彼女は、安心したみたいに窓の外を見た。

雨が、ずっと降っていた。