中学一年生の三学期という時期に転校してきて、まだ一ヶ月。
だけどわたしは、クラスに馴染めていると思う。
「あ、おはよう、渚ちゃん」
「おはよー、時間ギリギリだったね」
教室に入れば、何人かの女子達が声をかけてくれる。
「おはよ、寝坊しちゃった。鏡ほぼ見れなかったんだけど、髪変じゃない?」
「私、直してあげるよー」
一人の女子が座ったわたしの髪に手をかけ、何人かの女子がわたしの机を中心に囲む。
「お母さんに起こされなかったの?」
「うち、両親朝早いんだ」
これはウソ。現在わたしは一人暮らし中だから、そもそも両親が家にいない。
この学校に転校して来たのは任務の一環で、親は地元で仕事があるから、一人暮らしをしている。
わたしは学校で、自分が一人暮らしをしていることも、自分が吸血鬼ハンターだって事も話してはいない。
吸血鬼ハンターは珍しいから、それだけで目立ってしまうし、それによって厄介事が入り込むかもしれないのが嫌だったのだ。
嘘をつくのはちょっと心苦しいけど、そのおかげで、わたしは特に言う事の無い普通の転校生って感じだと思う。
まだ特別仲良い子はいないけど、みんなとそれなりに話せていて、一人行動することは殆ど無いのも目立たない理由だ。
そんなわたしと比べて、セシルは目立っている。
それが一番分かるのが、彼が登校してくるときだ。
セシルはいつも、朝読書の時間が始まるぎりぎりのタイミング、朝練組が教室に戻ってきたくらいの時間に登校するが、今日もそうだった。



