セシルを見ると、彼は手袋を脱ぎ青い血で染まった手で女吸血鬼を殴り飛ばしていた。
「いったい! やめて、あたし、痛いの苦手なの!」
「人のバディを傷つけておいて、白菊の家の墓に何かしようとしておいて、タダで済むと思うなよ!」
「こら! 何をするんだ! 止めなさい、止めなさい!」
最後に残った眷属がセシルを止めようと掴んでいるが、全然止められておらず、セシルはじりじりと下がる女吸血鬼にどんどんと近づいていく。
これはもう、勝負アリかな。
「セシル。これは、自分で傷つけたやつだから、そんなに怒らないで」
近づきながら告げると、彼は驚いていた。
「は、そうなのか?」
「うん。傷跡見れば分かるでしょ? 切り後だって」
「いや、そんなの……お前、なんでそんな事したんだよ」
「血の匂いで、セシル来てくれないかなって思って」
「馬鹿なことをするな馬鹿」
馬鹿を二回も言うとは!
「でも、これで実際に来てくれたから、正解だったでしょ」
セシルにひっついていた眷属を引き離すと、縛り上げる。
噛ませた布の下でもごもご言って居るが、ごめんちょっと我慢してね。こっちも無駄に傷つけたいわけでもないからさ。
そして、もう立てないのか、地面に座り込んでいる女吸血鬼に近づく。
「あんた、白菊さんの事を知っているんだよね。あんたが攫ったの?」
女吸血鬼は言いたくないのか、口をぎゅっと締めて黙っている。



