セシルはゆっくりと、わたしの方を向いてて、目があった。
その目には、怒りの感情が全面に出ていて、ギラギラと見られただけで傷ができそうなものだった。
「吸血鬼の気配はないから、この眷属を作ってどこかに移動したんだろう」
「うん、そうみたい」
次の連絡はまだ来て無いから、どこに移動したかは自分達で探さないと行けない。
セシルはゆらりと立ち上がる。
「俺が探してくる。お前はそいつを運んでおけ」
セシルの声は落ち着いて居る。でも、それは水が沸騰する前のような静かな怖さがあった。
「一人で行動するの? 危ないんじゃ」
今のセシルを一人にはしたくないし、出来ない。
「いい」
「でも……」
セシルはわたしの顔を見る。少しの間目があっていたが、彼は逸らした。
「お前は、そいつをここには置いておけないだろう」
「うん。だから、運ぶのを一緒に」
「俺の行動をこれ以上制限しないでくれ! 俺は、一刻も早く白菊に会いたいんだ。白菊に何か会ったならと思うと我慢できないんだ!」
彼の叫びにわたしの体は、固まってしまう。
セシル……
セシルは、わたしを置いて行こうとする。その背に、なんとか声をかける。
「見つけたらすぐ連絡してね」
「ああ」
信頼してもいいのかな。
でも、この人を安全な場所に運ばないといけないし……セシルの白菊さんへの気持ちを止められない。
ここだったら、わたしの家より協力者の家が近い。
男の人を担いで、走り出す。



