「おじさんごめんね」
噛まれると不味いので口に布を噛ませてからてから、腕も布で縛り、セシルから引き離す。
今のセシルは気が立ちすぎていて、この人を近くにいさせるのはまずい。
眷属男のシャツを脱がし、肩を出させると、腰にくくりつけていた小さな鞄から注射器が入ったケースを取り出し、注射の準備する。
「それじゃあ、チクッとするよ」
どうせ眷属だった時の記憶なんてほぼ無くなるが一応声をかけながら、その腕に注射をする。
この注射は眷属化を一時的だけに押さえれるものだ。
本当に眷属化を終わらせる為にはちゃんとした施設での治療が必要だから、協会に連絡してこの人を回収してもらう必要がある。
男のシャツを着せて見た目を戻しておくと、スマホで連絡する。
それにしても、昼に二体、夜に人間一人を眷属化させるなんて能力の高い吸血鬼だ。
放っておいたら不味いことになりそうだから、はやく退治しないと。
セシルは、眷属化した男が荒らした墓を直していた。
「そこって」
墓には、日下部家と書いて有る。
やっぱり、そこが狙われたんだ。
セシルは悔しそうに、歯を噛みしめた。
「まだ開けられてはいなかったみたいだが。こんな狼藉許せるか!」
セシルは怒りのまま、地面をドンと叩く。
そこには、ヒビのようなものができていた。
……土の所とはいえ、一撃で。



