言われた通りの時間にセシルの家の前に行くと、彼が門を開けてくれた。
「珍しい。じいやはいないの?」
じいやとは、セシルのお世話係の人。
人間で、セシルの両親に任され、セシルとこの家の面倒を見ている。
「じいやは今、料理中なんだ。客人をもてなすためにな」
「客人?」
「お前だよ。血をもらったからその代わりだ」
「えっ、ご飯もらえるの? やった。いつも一人だから結構味気ないんだよね」
協会側が手配してくれていて美味しいご飯は食べれているが、なんか違うのだ。
セシルも席についてくれるのだろうか。
「俺はまだ席に着くと言っていないんだが、まぁ良い。入れ」
「お邪魔します」
門の中に入り、少し先の玄関まで歩いていく。
セシルはいつもよりは緊張感があるが、彼も連絡が来ない限りは何も出来ないのが分かっているからか、表面上は落ち着いてはいた。
「吸血鬼ついての連絡は来てないのか?」
「まだ何にも来てないよ」
「じゃあ、今夜の任務は?」
「今の所何も連絡は無い。もし、連絡来たらセシルに連絡するから、とりあえず今日はご飯食べたらゆっくり休みなよ。そんな寝てないし、疲れたでしょ?」
「ああ」
頷いてはくれるけど、少し不満そうではある。
大丈夫かな。一人で探しにいったりしないよね?
心配な気持ちにはなるけど、信じるしか無いか。
玄関まで来て、良い匂いが漂ってきたところで、──ピリリリリリと電子音が鳴る。
これは、すぐに気づけるようにしている緊急連絡の音。
わたしは急いでスマホを開き、内容を確認する。
「ごめん、やっぱり休めない。というか、ご飯もなし。吸血鬼が出た」
瞬間、セシルの雰囲気が引き締まる。
今のセシルに言うのは無茶しちゃいそうで心配だけど、言わないわけにもいかない。
「協会が町に置いてる監視装置に引っかかったみたい」
「準備は?」
「出来てる」
いつ連絡があっても良いように用意はしていた。それは、セシルと一緒だったみたい。
「俺もだよ」
二人で門へと踵を返す。
今回の吸血鬼が白菊さんを攫った吸血鬼と関係あるかは、まだ分かってない。
でも、もし違ったとしてもやることは変わらない。
人を危険に晒す吸血鬼を退治するだけだ。



