廊下に出ると、セシルがわたしを呆れた目で見ていたので近づく。
「聞いてた?」
「聞こえてきたんだよ」
結構遠くだっただろうに聞こえていたとは、聴力凄い。流石吸血鬼。
下駄箱に向かいながら、彼と話す。
セシルは、だいぶ落ち着いていた。いや、いつもよりは機嫌が悪いけど、今にも暴れ出しそうというほどではない。
「山田は、白菊の事好きなんだよ」
「え、そうなの?」
「ああ。前から突っかかってくることが有ったし、ハッキリ言われたこともある。だから、今回突っかかって来たのも、俺が白菊がいなくったらお前といる様になったのが許せなかったんだろうな」
「そうなんだ」
転入してくる前の学校の事は知らないから、全然気づかなかった。
セシルは、その事を知って居たから、今はそこまで怒ってないのかな。
「俺は別に、白菊を恋愛的な意味で好きなわけじゃないけど、アイツにはそういう意味で大事って聞こえただろうな」
「言い方間違ったかな」
別にわたしもセシルが恋愛的な意味で白菊さんを好きと言いたかったわけでも無い。
セシルがどんな風に好きなのかは、聞いた事ないから知らないけど、ただ大事なのを知っているだけだ。
「別に。大事に思って居るのは間違ってないからいい」
なら、良かったかな。いや、無駄に山田くんに傷を作っちゃたかもしれないな……。
「……それより、さっきの話の放っておけないってどういう意味なんだ」
セシルが神妙な面持ちで聞いてきたから、わたしは戸惑う。
「どういう意味とは?」
「いや、その……」
何かを確認したいみたいだけど、ここでは言えないこと? じゃあ、吸血鬼とかそういう話を聞きたいのかな。



