「セシルくんって呼ばれていたなら、それは本物じゃない。ただお前の中の妄想で、お前の中で記憶の整理が行われただけだろうな」
「そっか」
……わたしの脳は、なんで白菊さんにセシルに向って謝らせたんだろう。
わたしが無意識でそうして欲しいって思ってる?
セシルが苦しんでいるのは白菊さんのせいだって思ってる?
あー、嫌だ。
胸の内がモヤモヤしてくる。
白菊さんが悪いところは何一つ無いのに。ただ、その血で生まれてきただけなのに。
なんでこんな事、思っちゃうんだろう。
「お前、今、何考えてるんだ?」
「え?」
セシルに聞かれて、ドクンと心臓が跳ねた。
彼は黙ってわたしをじっと見ているのだが、その目がわたしの心の中を見透かしてしまいそうで怖くなる。
わたしが今考えていたのは……
「顔色、悪いぞ」
セシルが心配そうに言うから驚いた。
え、わたしの事、心配してくれた?
嬉しいけど、本当のことは言えないから、笑って誤魔化す。
「貧血の影響かな」
協会に吸血鬼に関しての発見と情報を至急求むと、連絡してスマホをしまう。掛け布団を折りたたんで、ベッドから出た。
ふらっとしないな、よし。
セシルはずっと何か言いたげに見ているが、何も言うことはない。
「そろそろ教室戻ろっか」



